I`m traveler of the life

人生を表現し、人々に感動を

『ズートピア』を通して、多様性の限界と条件を考察してみる。

 

たまには映画の考察でも。

バイロン・ハワードリッチ・ムーア監督『ズートピア』を見ました。

 

 

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結果、ディズニー映画の傑作でした。

そして映画の刷り込み効果って、マジで無限だなと思いました。

 

 

 

 

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2016年に公開され、トランプ大統領のニュースもあり『差別』をテーマにした映画として、話題になってたようです。そんなこと、当時は1ミリも知りませんでした。

 

 

 

 

深くて質の高いレビューはたくさんあったので、記事末にシェアさせて頂きます。

この記事では、同世代の若者向けに書こうと思います。

 

(見てること前提なので、見てから読んでほしいです笑)

 

 

 

多様性(diversity) に向けた問題

 

 

「だれでも何にでもなれる・ズートピアというフレーズに反し、作中に登場するシーンでは、多様性社会を実現する上での問題や限界。これがよく見えます。

 

例えば主人公であるウサギのジュディは「ウサギは農家が成功」だとか「キツネは悪だとか」親やコミュニティから教育をされる。警察官としての日常もマイノリティ(草食動物)は何をされるでもなく生き辛い。それは意図された迫害でなくとも、ストレスを感じてしまう。

対して、ジュディ自身も偏見を持っていて、ウサギという種族(草食動物)だけに肉食動物への恐怖心が働いたり、遺伝的に凶暴化すると決めつけてしまう。

 

それぞれの生存本能や歴史を繰り返す上で刷り込まれてきた教訓や概念であり、一概に脆弱・悪質性が高いと評価することはできないでしょう。これは、人間社会でも同じ危険性を孕んでいます。正義の反対はもう一つの正義たる所以。

 

ニックも言ってますよね「自分以外にはなれない」と。序盤で出て来るこの伏線というか名言は、すごいなと思いました。

 

 

自戒も込めてですが、僕のまわりだと「障害のない社会」「ダイバーシティ最高」と、声高らかに発信する同世代をよくFacebookで見るのですが、根本にある諦め(経験/固定観念)を持って、生きている(別の正義/情状酌量の余地がある)ことを汲み取ろうとは、踏み込んでいない感じがあります。多様性社会の表面的実現で満足しているのではないかと。

 

 

例えばですが、価値観の不一致を、教育や圧力により解決しようとする風潮は、柔軟な社会とは言い難いですね。

成績優秀者であれば、他者の幸福に干渉することが許された社会は、不完全だと思っています。(お金をたくさん持ってる人とか、すごく頭が良い人とかのことです。)

 

逆に「マイノリティ至上主義」なんかも、すごく安易な主張ですよね。乱暴というか、教養がないというか。

決まったレールを一即多に非難していては、問題は1ミリも変わらないのです。作中でも社会全体の10%である肉食動物が、デモを起こすシーンがあります。

 

 

 

多様性(diversity) の条件

 

ということで、問題は山積みなのですが、作中では救いの手になるシーンが幾つか切り取られています。

問題提起→解決をしっかり画にしているのが素晴らしいです。

 

 

1,友達は差別しない説

 

すごくざっくり言えば「北朝鮮に1万人友達がいたら、北朝鮮の悪口を言いますか?」ってことですよね。ウーマンラッシュアワー村本さんの漫才も、中盤に似た風刺がありましたね。

 

ジュディは子供の頃、キツネのギデオンに引っ掻かれたトラウマや親からの偏った教育を受けているにも関わらず、キツネのニックと信頼関係を築き上げている。 (深層心理に恐怖は残っているでしょうけど) 

また、ニックは顔が広く、ナマケモノヌーディストクラブの動物たちとも仲が良いらしい。これだけ多様な種族と関係を持っているのは、キツネの個性ではなく、単に友達だから。 典型的な友情例と言えるでしょう。

 

 

2,自分の過ちを認め、面と向かって謝る

 

差別をしてしまった自分の失敗を受け止め、反省し、傷ついた相手に伝える。これが他者理解、愛情、経験に繋がる。

作中でも『諦めない意志』の重要さが局所で説かれています。

 

ジュディがニック(全ての肉食動物)を傷つけてしまったことを反省し、謝罪するシーンがあるのですが、あの演出により、ジュディの正義は悪であったことが、読み取れるシーンとして作られています。価値観や個性ではなく、間違っていることは内省し、更生することの大切さをシンプルに届けています。

 

「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えるのって、本当に大切ですよね。

 

 

 

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ということで考察でした。

 

あとは実際に自分のモノサシで2回、3回と映画を見てもらったほうが、啓発されるものがあると思います。

 

「月に1回は見よう」と思えるくらい感動しました。

 

 

 

伏線回収率が異常であること。清々しいスピード感で物語が進んでいくこと。動物のセレクトが、ほぼほぼ風刺に繋がっていること(ガゼルは喰われる草食動物の代表格だが、ズートピアでは街のスターであり、肉食動物の味方であり、最後はトラとライブを成功させている)

 

などなど、凄まじい数のギミックと考えさせる余韻を残す完成された作品だと、クオリティ面でも感動しました。

 

 

日本がこういう社会になるには、すごく遠いことのように思えますが、自分を取り巻くコミュニティ、社会のみであれば、実現できるかもしれません。くじけない意志が大事ですね。ジュディから学べます。

 

 

 

最後に、お気に入りの「GACKT」さんのお話もシェアしておきます

itotl.hatenablog.com

 

 

 

 

 

違いを認め合う、良い世の中にできれば嬉しいですね。

本当に素敵な作品でした。

 

 

 

 

 

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